中学校3年生に薦めたい本100冊vol.3 6月

やがて社会へ羽ばたくキミたちへ~自分を磨く新書本

単なるエンターテインメントとしての
読書ではなく、
自分磨きとしての読書。
ややハードルが高いのですが、
系統的な読書を積み重ねると、
こうした本も
読みこなせるようになってきます。
中学校3年生に薦めたい、
自分磨きのための新書本8冊です。

その1:
「貧困を考えよう」(生田武志)

現在の社会の現状を
「イス取りゲーム」になぞらえて
説明しています。
イスをとった人は努力をしたからだ。
しかし、参加者全員が
今の100倍の努力で回ったら
どうなるのか。
やはり座れない者が
2人でてしまうのです。
その先にあるのは「貧困」なのです。
本書はさまざまな角度から、
その「貧困」を取り上げています。

その2:
「自分力を高める」(今北純一)

貴重な一言、「MVPで夢をかなえる」。
Mはミッション。
自分がチャレンジすべき夢や目標。
Vはヴィジョン。
そのための方法や見通しを
明確に持つこと。
Pはパッション。
夢をとことん
本気で追いかけるエネルギー。
ミッション・ヴィジョン・パッションを
大切に、自分力を高めていこうと
思える一冊です。

その3:
「未来の年表」(河合雅司)

やはり衝撃的でした。
2015年では1億2700万人を数えた
日本の総人口が、
40年後には9000万人を下回り、
100年経たぬうちに5000万人まで
減少するというのですから。
その数字自体は
「日本の将来推計人口」として
公開されていたのですが、
それがどんな現象として
私たちに降りかかってくるかを
丹念に描いたのが本書なのです。

その4:
「「関係の空気」「場の空気」」
(冷泉彰彦)

「空気」という、日本人には
抗いがたいやっかいな存在。
「省略表現」「指示代名詞」「略語」等の
「暗号」を使った会話には、
暗号化と復元をするために必要な
暗黙の共通理解があり、
暗号化をすることが
「共通理解を持っている」ことの
確認になり、
その「共通理解」が「空気」として
日本語のコミュニケーションの
重要な要素となるというのです。

その5:
「生きるための図書館」(竹内悊)

「子どもたちの
感覚や好みを知るためには、
定評のある古典や
標準的コレクションに安住せず、
積極的に新しい分野に飛び込んで、
その分野を図書館の選書の
対象とするかどうかを検討すべき」と、
重要な提言が
数多く盛り込まれています。
著者はこの部分に
最も力を入れています。

その6:
「ボランティア もう一つの情報社会」
(金子郁容)

本書はあくまでも
ネットワーク社会論の
先駆け的存在です。
これから(出版当時の
1992年から見て)の社会は
ハードでもソフトでもない、
ネットワークの時代が来る。
その中でも人的ネットワークが
とりわけ重要となる。
その人的ネットワークを
形成しうるものが
「ボランティア」なのである、
ということなのです。

その7:
「科学の目 科学のこころ」
(長谷川眞理子)

科学的な見方・考え方について、
科学・社会・自然・人間の
関わりから述べている一冊です。
自然科学そのものについて
解説してあるわけではなく、
あくまでも「科学エッセイ集」なのです。
だから中学生でも読み通せるはずです。
そして科学の見方・考え方について
考えるきっかけになると思います。

その8:
「社会人の生き方」(暉峻淑子)

就職難は社会の構造に欠陥があり、
そこから派生する格差社会が、
社会人となれない人間を
つくり出していると筆者は指摘します。
そして社会人(社会とつながり、
相互に支え合い、
社会を変えていこうとする人間)
になるためにはどうすればよいか
提言したのが本書です。

1、2の岩波ジュニア新書は
大人でも勉強になる2冊です。
3、4の講談社現代新書、
5~8の岩波新書は
中学生では難しいはずです。
しかし、ぜひこうした新書本に
若い段階で挑戦してほしいのです。

読書にはいろいろな読書があります。
中学生の子どもたちはまだまだ
楽しむための読書だけしか
知らないのではないかと思うのです。
自分を磨くための読書を
意識することができれば、
本の世界はぐっと広がっていきます。

系統的な読書を、
発達段階に応じて読みこなしていくと、
読書力は格段に
レベルアップしていきます。
以前中学校3年間にわたって
ブックセイリングという
課題読書的活動を行っての実感です。

(2020.5.29)

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